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サケ釣り用本流竿 エア・ゴライアス8400 徹底解説

エアゴライアス8400 超大物用延べ竿

夢はメーター、10kgクラス…あらゆる大物に延べ竿一本で挑む

鮭を延べ竿で釣るということが、一昔前に比べてはるかに一般的になりつつある。POLE&LINEが初めてサケ釣り用本流竿A.P.S8500をリリースした当時は、大手メーカーでもサケ釣りに用いるような大物用本流竿のラインナップは限られており、まだまだ発展途上の段階であった。それから10年も経っていないのだが、現在、各社とも大物用本流竿、延べ竿を続々とリリースしており、アングラーにとっての選択肢は確実に増加した。

鮭の本流釣りそのものも大きな進化、変化を見せ、太糸化の傾向はとどまることがない。最近では10号クラスのラインを用いるアングラーも増え、かかった大物は確実に獲る、というスタイルが浸透しつつある。

一方で、サケ以外の大物を延べ竿で釣る、「大物延べ竿」の世界も着実に広がりを見せつつある。大手メーカーがこの分野にスポットライトを当て始め、またアジア圏などでアオウオやレンギョ、オオナマズやチョウザメなどを延べ竿で釣る手法がクローズアップされる中、リール竿とは比べ物にならないスリリングなやり取りをもたらす延べ竿での大物狙いに着目し始めた国内の釣り人も多い。

非常に高価なキングサーモンロッドは今までにも市場に存在していたが、ここで一度、メーター、10kgに迫るようなクラスの魚を魚種の境界なしに「延べ竿大物釣り」として獲れるような、なおかつ鮎竿に迫るような高価なものではなく、新たにこの世界に入るのを躊躇しない程度の価格帯の竿、そんな竿の需要が高まっているといえよう。

エア・ゴアライスはこのようなコンセプトのもと企画開発された、超大物用本流竿だ。あくまでもサケ釣りを第一義的なメインユースとしてとらえながら、海などの新たなるフィールドにも対応できる汎用性、強靭さを有している。本稿では、このエア・ゴライアスの詳細な特徴について徹底解説したい。

 

圧倒的なバットパワー

鮭釣りのように水平の方向に引かれる釣りだけでなく、磯釣りや防波堤での釣りのように垂直方向に引かれる釣りにも対応するには、通常より余裕を持ったバットパワーが必要になる。太糸に対応し、大型魚の猛烈な突進に対抗するため、エア・ゴライアスのバットパワーは旧作RUDOW8500の1.5倍を軽く超えるものとなっている。

参考適合ラインは最大10号、無論、根ズレ等を考慮してのもので単純な引張強度とは異なるが、こういった太糸を扱えると延べ竿大物釣りの幅はぐんと広がる。

一方で、決して誤解のないようにしていただきたいのは、この竿は単なる硬い竿、剛竿ではないということ。元上が曲がらないような竿は限界を超えれば破損に至るしかなく、また魚の引きを必要以上に大きく感じてしまう。本当のパワーのある竿は、曲がりが素直に下りてきて、手元で受け止めることのできる竿だ。そして、それはサケ釣りで一番体力を消耗する振り込みも楽にしてくれる。 この竿はあくまでも第一義的には「鮭釣り用」の竿であるから、この点は決して疎かにされてはいない。

ゆえにこの竿は、60cmや70cm程度の小さめのサケでもきちんと胴まで負荷が降りて来るので、やりとりの楽しさを減じられることが無い。更に、次に説明する持ち重りのなさにより、自重以上の軽量感のため、「普段使いの竿」として最適なのだ。

自重450gというと、キングサーモンロッドに次ぐ重さで尻込みする人もいるかもしれない。実際、自重とはカーボンの量であり、それ即ち竿のパワーであるから、超大物用本流竿である以上一定の自重が必要なのは言うまでもない。

持ち重り、モーメントについて

一方で、持ち重り、即ち体感重量については、重心を手元寄りに設定することで減らすことが可能だ。エア・ゴライアスは素直に手元に曲がりの支点が下りてくる調子のため、元上、元竿を重点的に強化、重量化し、ここで魚の力を受け止めるように設計、これにより重心がぐんと手元に近づき、持ち重りを大幅に軽減した。

実際、上図の通り、旧作RUDOW8500に比べ20%減の持ち重りとなり、他社の自重400gを切るサケ竿よりも持ち重りを軽減することに成功、まさに、「軽快な巨人」となったこの竿は、その自重を感じさせない軽量感で、振り込みや流し、やり取りといった一連の動作を快適にしてくれる。

強い竿は重く、どうしても「普段使いの竿」としては億劫になりがちで、結局通常クラスの竿を使ってしまい、そんなときに限って超大物がかかり、逃げられる…そんな経験のある方も多いだろう。エア・ゴライアスなら、その持ち重りのなさから「普段使い」が十分可能で、不意の大物にも真っ向勝負を挑むことができる。

エアゴライアス8400 超大物用延べ竿

ブランクスについて

ブランクスには東レ製高弾性40トンカーボンを採用し、ネジレ耐性を高めるためアンチツイスト構造を採用した。これは、カーボン繊維の向きを複数化することにより、特に延べ竿のやり取りでかかりやすいネジレの力に対応するものである。

高弾性カーボンは強烈な反発力を有する一方で肉厚にしなければ粘りが生まれない。振り込みや流しを楽にするためにも、細身肉厚設計は必須。これにより、魚の体力をしっかり奪う高反発と、のされかけた際に最後の砦となる粘りを両立した。直下に垂らす釣りで根に走る魚を引きはがす、垂直方向の引きにも耐える強度でコブダイや石鯛などの海の大物釣りにも対応する。

 

鮭竿 エアゴライアス

8本継構造

この竿は9本継が多いサケ竿のなかで、継数を8本に抑えた。単純に継数が少ないほうが細身肉厚に仕上げやすくなり、またウィークポイントも少なくなる。この8本継により元径26mmを実現。超大物竿でありながら、通常のサケ竿と変わらない太さである。

加えて、全節玉口カーボンクロス補強を採用し、継口の強度も万全なものとしつつ、デザイン性も高めた。

AIR GOLIATH8400 超大物用本流竿

逐条解説・適合ラインについて

エア・ゴライアスの参考適合ラインは3~10号となっている。参考とあるように、これはあくまで目安である。明らかに、0.1号のラインは不適であるが、では2号ラインは使えないかと言われればそんなことはない。上限についても、応援団スタイルでの5号ライン使用と、深い曲げ込みでの3号ライン使用では、どちらが竿に負荷がかかるかは一概には言えない。一応上限は10号としているが、これは根ずれなどを考慮したもので、単純な引張強度の比較ではない。

曲げ込みの度合いによって、相当に適合ラインは変わってくる。ただ言えることは、大物用本流竿はその外観や適合ラインの太さから、よほど乱暴な事をしても折れない様な印象があるかもしれないが、瞬間的な衝撃にはカーボンの特性上弱い側面がある。従ってネガカリであおったり、瞬間的に曲げたりするような行為は避けるようにして頂きたい。また、近くを釣っているときに大合わせすると、竿先を大きく後方に倒したのと同じ格好になり、先端部が折れることがある。これも注意されたい。サケ釣りでは追い合わせを行うことも多いが、決して無茶はしないようにしたい。

逐条解説・口栓、尻栓について

高級感あふれる金属製の口栓とこれにマッチする元竿玉口リングを採用。また、尻栓についても金属製尻栓受け+金属製尻栓を採用した。両者とも堅牢かつ高精度な金属製にすることで経年による尻栓の緩みを防ぐことができる。また尻栓には尻手環が付属しウキ釣りやブッコミ釣り、垂らし釣りなど様々な釣法に対応できる。

AIR GOLIATH8400 超大物用本流竿

逐条解説・ブラックフラットコーティング(塗装)について

中節のブランクスの塗装は、一般的なテーププッチの段差を残した塗装ではなく、無駄な樹脂を強度に影響が出ないレベルで削ぎ落した上に塗装を施した、滑らかで平坦なブラックフラットコーティングとなっている。見た目にも美しく、振出時の抵抗も少ない。段差の残った一般的な塗装は、無駄な樹脂による重量増を薄い塗装で相殺しているが、大物相手のこの手の釣りでは必要に迫られて竿を一時的に置いたりすることも多く、薄い塗装は少しの置き傷でカーボンに影響が達する可能性がある。一方でエア・ゴライアスのブラックフラットコーティングは、無駄な樹脂を削ぎ落し自重減を稼いだうえで必要十分なコーティングを施しているため、ちょっとの置き傷でカーボンに影響が及ぶことはない。黒色の平滑塗装表面のため、一般的なクリア塗装に比べ微細な傷やくすみがやや目立ちやすいというデメリットはあるものの、肝心の内側のカーボンをしっかり守るという塗装の実用面では一般的な塗装を凌ぐメリットがある。

 

AIR GOLIATH8400 超大物用本流竿

逐条解説・リリアンについて

エア・ゴライアスのリリアンは非回転式の直付けリリアンタイプとなっている。強度を最優先し、撚れ防止は二の次とした。昨今は金属トップの採用が目立つが、思わぬ仕掛けの抜けなどがあったり、渓流・本流釣りに普段親しんでいない人はやはり昔ながらのリリアンの使い勝手が良いだろう。

今回、エア・ゴライアスは超大物用本流竿ということで、接着部分を3cmと極端に長くとった「ロングコートリリアン」を採用。十分な強度が確保されている。

AIR GOLIATH8400 超大物用本流竿

逐条解説・ストリップグリップについて

通常、サケ竿のグリップはしっとり加工などすべり止め加工が施されていることが多い。しかし、エア・ゴライアスはこのような加工は一切なしのストリップグリップ仕様となっている。これは、経年劣化による美観の毀損やべたつきを防ぐ意味と、サンマ餌や鮭釣り以外の延べ竿大物釣りで用いられるオキアミ、アミエビ、ダンゴ、その他の餌の汚れや匂いがしみつくのを防ぐためである。

すべり止め加工がないと滑るのでは?と思われるかもしれないが、実際よほど立ちこんで濡れていない限りさほど滑ることはないし、滑りにくいフィッシンググローブをはめれば塗れていても全く問題ない。それでも気になる方は、熱収縮チューブをお好みに応じ被せてしまえば、グリップの置き傷も防ぐことができ、オフシーズンは剥がしてしまうことも可能だ。なお、熱収縮チューブを被せたまま濡れた状態や湿度の高い状態で長時間保管するとその下の塗装にブリスターなどが発生する危険があるため注意されたい。

ニット竿袋

逐条解説・パッケージング、付属品について

エア・ゴライアスのパッケージングは、一般的なPETケースによるものではなく、リサイクル、リユース性に優れた不織布竿袋を採用している。これは、いわゆる店頭での陳列時に最も効果的なPETケースではなく、実用性として、最も使い勝手のあるパッケージとして採用したものだ。海外のルアーロッドなどでよく採用されている不織布竿袋は、通気性が良く家での保管にも向く。POLE&LINEでは、従来の陳列における最適化によるパッケージングの選択ではなく、実用性と環境への配慮を主眼としたパッケージングの選択を行っている。

付属品として、専用のニット竿袋がある。最も容易かつ安全に延べ竿を収納できるニットタイプの竿袋は、今も昔も多くの延べ竿の付属品として用いられている。緩衝性にも優れ、大切な竿をしっかりと守ってくれる。

エアゴライアス8400 超大物用延べ竿

仕様

標準全長8.38m

標準自重450g

継数 8本

先径 2.1mm

元径 26mm(グリップ加工部は29mm)

仕舞寸法 135.5cm

参考適合ライン 3~10号

カーボン 99%

生産終了品(2021)