センターピンフィッシングにおけるショッティング入門
ショッティング(Shotting)とは、ショット、即ちガンダマを打つことを言う。 センターピンの流し釣りでは、様々なショッティングが行われる。 多くは、流速や水深に対応した、私たちにも分かりやすい原理で行われている。
ここでは、北米式スチールヘッドの流し釣りと、英国コースフィッシングで用いられる手法をメインに、その他派生形も含めて様々なショッティングの方法をご紹介しよう。本来、本稿は英国式トロッティングの記事の一部であるから北米のフロートフィッシングスタイルを混合するのは良くないかもしれないが、ここでは出来るだけ多くのショッティングのバリエーションを紹介するという観点から、ご了承いただきたい。
原則として、ウキはドラグをかけてやや遅らせ、餌先行で流す事を念頭に置いた ショッティングが多いが、そうでないものも存在しているし、その場合はその旨付記している。
また、基本的には低層を流す事を意図したものが多いことも予め記しておく。 実際の釣りに於いて、魚は多くの場合低層に居るからであり、更に、そもそも中層や上層部 狙いの場合はショッティングそのものにさしたる気を配る必要はないだろうからだ。
なお、下記の図は簡略化した模式図である。ガンダマの数や大きさはその場その場に応じて柔軟に 変化させるべきであり、その数値は一定化できるものではない。よって、ガンダマのサイズや数は 図の通り以外にも各自状況に応じ適切に選択いただきたい。


均等打ち
スチールヘッドのウキ釣りで使われる手法の中で最もオーソドックスなもの。ウキからハリス接続部迄の間に、いくつかのガンダマを均等な間隔で打つ。ただ し、そのサイズは上に行けばいくほど大きくする。これは、ナチュラルドリフトを基本としたもので、下部のガンダマを小さくしていくことでネガカリ防止、餌 の自然な動き、また、餌先行を大オモリで阻害しないようにすることを実現している。反面、深場での底流しには向かない。棚を決めたらウキの真下に一つガン ダマを打っておくのもよい。
英国トロッティングでの均等打ち
英国トロッティングにおいても、緩い水流においてはこの打ち方がベースである。しばしばその姿から、シャツボタンスタイルと呼ばれる。殆どオバセをなく し、ラインをウキ直下に出来るメリットがある。即ち、感度が良くなるのである。この場合、ガンダマのサイズは上に行けばいくほど大きくしてもいいし、上部 3分の2ほどは同じサイズのガンダマを用い、残りの下部にはその半分程度のガンダマを打つというような簡素化したスタイルでも構わない。出来るだけ、小さ めのガンダマを多く用いた方が、よりオバセをなくし、かつ穏やかな沈下を可能にするので好ましい。例えば、上から、3号のガンダマを6個、5号のガンダマ を3個、など。


フカセテーパー打ち
均等打ちと同じく、ガンダマを複数、上から順番に徐々に小さくして打っていくのは同じだが、更にその間隔を、下に行けば行くほど大きくしていく方法。結 果として餌付近はかなり低負荷となり、ウキを立たせるためだけにガンダマを 打っているような感覚になる。より浅場、ゆるい水流向き。
フカセテーパー打ち・改
フカセテーパー打ちの逆バージョン。ガンダマを複数、上から順番に徐々に小さくして打っていくのだが、その間隔を、逆に狭めていく方法。比較的流れの速 い場所で、かつナチュラルドリフトを行いたいときの折衷案。 下部の重さが大きくなるので、ともすればウキ先行になる可能性があるので、 少しドラグをかけて流すと良い。


まとめ打ちプラスワン
ハリス接続部のすぐ上に一つのガンダマ、そこから又すこし上部に複数のガンダマを まとめ打ちする方法。明らかに急流や深場での底狙いの打ち方である。 一つだけガンダマを別に打つのは、負荷を少しでも分散し、ラインがV字になるのを 防ごうとする狙いがある。 この方法ももちろん、ウキ先行になりやすいのでドラグをかけながら流すと良い。 なお、英国トロッティングに於いて比較的水流の強い場所での釣りに於いても、 この打ち方に近い形で仕掛けが作られる。まとめ打ちのガンダマはラグビーボール型 中通し錘に代用され得ること、必ずしもプラスワンのガンダマは用いられないことが 主な違いである(流速がまだそれほど強くはないためであろう)。
瀬打ち
浅いが急流である場所で用いられる方法。 ウキからハリス接続部の間、丁度真ん中と、ウキの真下の2か所に、均等な重さで ガンダマを複数個それぞれまとめて配置する。真ん中のまとまりは急流での素早い沈下、 ウキの真下のまとまりは浅瀬でしっかりウキを立てる意味合いがある。 更に、ハリス接続部のすぐ上に小さめガンダマを1つ打つ。 これで、自然な沈下とラインのL字化を防ぐ意味合いがある。


▲止め釣り打ち

▲英国トロッティングにおけるウキ先行の引きずり流し
止め釣り打ち
所々で流しを止め、魚にしつこくアピールするときに用いられる打ち方。 ハリス接続部のすぐ上にガンダマを複数まとめて配置し、更にハリスの真ん中にもガンダマを 一つ打つ。止めている最中の吹きあがりを防止するのがこの打ち方の最大の目的であるので、 まとめ打ちに更にハリスにもガンダマを打ち吹きあがりを防止している。 なお、英国トロッティングに於いてもこのような打ち方が行われる場合があるが、 流し方はウキ先行で、やや長いハリスを底に這わせながら引きずるようにして流すといったものである。
注意したいのは、基本的に英国トロッティングは中流~下流域を想定したものであるので、この引きずり流しもそれほど急流でない所を想定している。 即ち、引きずられるのはあくまでも餌、及びその付近のハリスであり、錘が底を引きずる形にはならないことに留意したい。さもなくば、表層流を受けたウキの 力が底に着いて少しでも引っかかった錘の力に負けてしまい、スムーズに流れなくなるだろう。渓流脈釣りで良くなされるような、錘を叩きながら流すのとは異 なるのである。
間隔なく打たれた複数のガンダマはメインの錘であり、これは状況にもよるが針から30~50cmを目安に打つと良い。この連打ち錘は単体の大きな錘より も、浅瀬に差し掛かった時等にひっかかりにくい効用がある。そして、このメインの錘と針の中間に小さめのガンダマを打つことで、より底のキープを確実にし ている。これは場合によっては無くてもよい。この小さめのガンダマは底すれすれ位になるのがベストだが、仮に底に着いてもすぐさま引っかからない程度の重 さにしておいた方が良いだろう。また、餌にパンなど浮力のあるものを使う場合はこの小さめのガンダマを針から10cm未満の所に打つのも良い。
中通しウキ深場打ち
止め釣り打ちと打ち方は同じ。深場の底狙いではこの打ち方が最善だろう。 中通しウキは糸落ちが悪い場合があるので、その意味でもガンダマのまとめ打ちが有効。
ブッコミ打ち
止め釣りに似ているが、こちらは完全に大オモリでぶっこむように釣る時の打ち方。方法は簡単で、ハリス接続部のすぐ上にガンダマをまとめて打つだけ。 この釣り方では、タナは深めに取っておき、ウキは幾分寝た状態で頭はこちら側ではなく 下流側に向いて流されようとしているのを、沈下したガンダマ集団が止めている状態。 ただし完全に止まっているので、ハリス以下餌はガンダマ集団より下流(先行)している。 止め釣りがラインの出にストップをかけ、餌先行で 吹きあがりに近い形で釣る(錘は着底していない) のに対し、このブッコミ釣りはオモリを完全に着底させ、ウキはほとんど役目を果たしていない。 餌は結果論として先行というか、ウキと同じくして前に出ているが、かなり雑な釣り方とも言える。 アタリがあるとガンダマ集団が引っ張られ浮き上がり、結果としてウキも流れ出すという仕組み。 つまりアタリはウキが流れ出すことで判断するのである。(通常の逆)
捨て錘ウキ先行
ブッコミ打ちの派生形。深場で急流、かつ底狙いの時に用いる。 ウキを通したラインの下にスイベルを用いてダウンショットリグの要領で 枝針をひとつつける。ラインの先端はガンダマを複数個まとめてつけ、 枝針の付いたスイベルが落ちないようにする。もちろん、ガンダマのすぐ上にも大きな結び目を創り、 ガンダマが外れてもスイベルが抜けおちないようにしておくべきだろう。 スイベルは通常遊動式にされるが、別に固定してもいいかもしれない。 タナはガンダマのまとまりが底を摺るようにして、ウキは少し寝るくらいでウキ先行で ガンダマを引っ張っていくように流す。 枝針は餌の抵抗でガンダマよりも先行して流れる仕組み。 この仕掛けはネガカリが多いが、慎重に引っ張ればガンダマのいくつかが外れるだけで 仕掛けは無事である場合が多い。ただし、全てのガンダマが外れても枝針の付いたスイベルが 抜けないように、ガンダマの上部に大きな結び目を創ることを忘れずに。 ガンダマの下部に作ると、今度はガンダマが上手く外れてくれない。
