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泳がせ釣り ライブベイトでの釣り

手持ちの泳がせ釣り

 海でのフロートフィッシングと銘打ちながら、本頁で紹介する泳がせ釣りは原則ウキを使わない。フロートロッドとセンターピンリールというタックルで行うという点でご理解いただきたい。

なにはともあれ、フロートロッドとセンターピンリールは手持ちの泳がせ釣りに大変有用である。防波堤や磯、サーフ等ショアからの泳がせ釣りは、多くがブッコミ釣り、エレベーター仕掛け(海外で言う所のベイト・スライディング)が殆どで、あまり手持ちで泳がせ釣りをするというのは一般的ではないだろう。

しかしながら、置き竿の泳がせ釣りと手持ちの泳がせ釣りでは以下の点で相当の違いがある。

1.生き餌の進行方向をコントロールできるかどうか

2.前アタリ等を素早く感知できるかどうか

3.誘いを掛けられるかどうか

1については置き竿ではまず不可能である。手持ちであれば鮎釣りの要領でわずかに進行方向と逆向きにテンションを掛けることで生き餌は自ら進んでくれる。

2について、いわゆるフィッシュイーターが接近した際の生き餌の暴れを感知できるかどうかという事だが、これは置き竿でも一定程度穂先の動きで検知はできる。しかし手持ちで、感度の良いフロートロッドであればさらに容易に、手に取るように分かる。

3について、アタリが無い際、生き餌が底に張り付いたり動きを止めていることがある。こういった際にも手持ちであればすぐに対応ができる。前アタリが来た際に敢えて糸の出を止めターゲットが食べやすくしたりといったことも可能である。置き竿では全てが固定的な為誘いという概念はない。

シイラ
ソーダガツオは生き餌として優秀だ

▲ソーダガツオは優秀な生き餌である

主なタックルとターゲット

 タックルとしてはフロートロッドにセンターピンリールまたはスピニングリール、ベイトリールでも構わない。後述の通り生き餌のコントロールにおいて適度な硬さの穂先を持つフロートロッドは最適である。磯竿の場合号数が小さなものでは穂先が軟らか過ぎ、逆では長さや重さにより操作性に欠ける。フロートロッド以外では長めの(そしてML以下の)シーバスロッドも良いが、磯などでは圧倒的に長さが足りない。この釣りではタナの管理などで竿を立てたり、手前の障害物をかわしたりするときにもある程度、最低12ft程度のレングスはあった方が良い。ベストは14~15ft程度のフロートロッド。FLOATANIA14ftはフロートロッドとしてはヘビーなロッドだが穂先は適度な繊細さがありコントロール性も優れ、大物が掛かり易い泳がせ釣りではお勧めである。小型回遊魚等を狙う際やサーフ等でラインを出したやり取りができる場合はヨーロッパのマッチフィッシングロッドを使うのも面白い。なお北米のフロートロッドは胴調子で軟調子のためコントロール性に劣りこの釣りではあまりお勧めしない。メインラインは基本的にナイロンを用いる。号数はターゲットにより選択する。この釣りでは長距離を生き餌に自ら進ませて探るため、例えばフロロであれば沈み過ぎネガカリが多くなるしPEは感度には優れるが特に長距離を進ませた際にその浮力と受ける潮の流れで餌を浮かせやすいのと瀬ずれに弱い。ただし考え方によってはラインを細くできる為流れを切り易く、瀬ずれもハリスを長く取れば解決するという見方もできる。この辺りは好みの問題である。ハリスは基本的にフロロカーボンを用いる。魚に見えにくく瀬ずれに強い。長さは2ヒロ~水深や進ませる距離に応じて。後は針(リリースの釣りなら海外で用いられるサークルフック、極度のネムリ針が呑まれにくくベスト)を繋ぐだけである。錘やウキは一切付けない。手持ちで生き餌に自ら進ませるという点において、できるだけ余計なものを付けない方が餌の推進力を阻害しない。この釣りは「流す釣り」ではなく「進ませる釣り」である。

ターゲットはショアから狙える魚食性の魚はすべてターゲットになりうる。青物やスズキ、ヒラメなどのフラットフィッシュ、根魚など…。無論淡水でもナマズやオオクチバスなどを同じ仕組みで狙える。餌は海なら小アジ、淡水ならハヤなど。

生き餌の特徴をつかむ

 小魚であればなんでも、あるいはイカなどでも泳がせはできるが、エサの種類により泳ぎに特性があるのでこれをしっかり理解することが大切だ。例えばサバやソーダガツオは基本的に沖合へ泳ぎやすく、表層を泳ぎやすい。一方アジはやや沖合への推進力が弱く、より深く潜る傾向にある。無論小さなガン玉などをつけてサバを沈めたり、逆に小さな発泡スチロールの浮力体を用い潜りやすい魚を浮かせたりすることは可能だが、エサへの負担を考えると泳ぐ層はできるだけエサ本来の自然な層にしておくほうが良い。だとすると、青物などを狙うならばサバのように沖へ浅いところを泳ぐ餌、低層近くまで幅広く探っていきたいならばアジ、といったような使い分けもできる。

一方、アジやサバ、ソーダガツオがつれない時、いわゆるエサ取りである木っ端メジナやネンブツダイ、スズメダイなどを使用しなければならない時もあろう。これらは釣るのは簡単だがエサとして用いるには難易度の高い餌だ。いずれもいわゆる光りもの、光沢のある魚ではないためアピール力に欠け、体高があり背びれなども鋭いため捕食者側から見てあまり魅力的な魚ではない。この中ではまだネンブツダイはましなほうで、事実食いはさほど悪くない。ただ「泳がせ」の観点で見ると、いずれも沖への推進力に乏しくどうしても根や岸に寄って留まりやすい。これはもともとの生息場所や習性がそうだからであって、特にメジナなどは何もつけずに泳がせることはかなり難しい。すぐに根に潜る、岸に寄るタイプの魚の場合はウキをつけて強制的に中層~表層に宙づりにして泳がせるしかない。ただウキをつけると繊細なコントロールは難しく棚も固定化されるため、できればこういったエサは使いたくないのが本当のところだ。本稿で紹介する手持ちでの泳がせに向いているエサは、回遊魚系の小魚である。アジ、サバ、イワシ、カマス、サヨリ、ダツなど。これら以外の魚、メジナ、スズメダイ、ネンブツダイ、キス、ハゼ等は推進力に乏しいためウキをつけて流すほうが良い結果を得られやすい。これはもはや本稿で取り扱う手持ち泳がせとは異なってくるが。泳がせはブッコミを除いては広範囲を探れば探るほど良い結果が得られやすい。推進力に乏しい魚は何もつけなければすぐに休んでしまうため、ウキや風船などをつけて流していくほうが良いのである。

生き餌のコントロール

 生き餌のコントロールは、簡単に言えば前述の通り進ませたい方向と逆に少し引っ張ってやるという事である。ただし、あまりに(穂先が)硬い竿で強く引っ張れば、小さな生き餌は当然引っ張った方向にそのまま引っ張られてしまう。一方であまりに穂先が軟らかい磯竿はテンションがしっかり伝わりにくくコントロール性が悪い。フロートロッドは一般に磯竿より短めで操作性に優れ、適度な穂先の張りがあるのでこの釣りに最適である。ポイントは若干のテンションを掛ける程度に引っ張ること。そして引っ張った後は、リールをある程度フリーにしてラインが出て行くようにしなければ、小さな生き餌の動きはすぐに阻害されてしまう。ここで、センターピンリールのメリットが存分に発揮されるのである。スピニングに比べシームレスなライン放出が可能なためオバセが出にくい。常に生き餌と穂先の間のラインスラックが限りなくゼロになる。少し竿を煽りすぐにリールをフリーにすることで適度なテンションをエサにかけることができ、エサの刺激操作が容易に行える。このリールは遠投は難しいがそもそもこの手持ちの泳がせ釣りでは生き餌に自ら進んで沖へ行ってもらう事を目標としている。まさに鮎釣りやヤエンの釣り等で行われている手法である。生き餌のコントロールについてはこちらでさらに解説しているので参照されたい。

前アタリと誘い

 良く知られているようにターゲットが近付けば生き餌は暴れ出す。こうなると生き餌は自らどんどんラインを引っ張って行こうとするだろうが、ターゲットが食べやすいようにここではラインの放出を抑え気味にした方が良いことも多い。特に捕食の下手な魚種はこれが有効である。またこうすることで生き餌はより暴れ、捕食者を引きつけることにもなる。ただしあまりにぴたりと止めてしまうと不自然さを警戒されることもあるので注意。

一方、餌が全く進まなくなったりした際は根に張り付いていたりすることが多いのでじんわりと引っ張って剥がすようにする。普通に泳がせていてなかなかアタリが無い時は敢えてトゥイッチのようなアクションを付けてやることで生き餌が姿勢を崩し捕食者にアピールすることも多い。ただし何度も行うと餌への負担が大きいので、偶に行う程度にとどめたい。ゆっくりと引っ張ってくる途中にアタリが出ることもある。これはエサが姿勢を崩し魚食魚にとって襲いやすい状態になることが考えられる。

アワセ

 ご存知の通り泳がせ釣りはノマセ釣りとも呼ばれ文字通り餌をしっかり飲ませてやる必要がある。これは、多くのフィッシュイーターは餌を「丸呑み」するとはいえ、口にいわば咥えている状態で一定時間過ごすためであり、ここであわせると餌ごと吐き出してフッキングに至らないことが多い。ターゲットのサイズに対して餌が大きい時はなおさらである。咥えた状態から幾許かの咥えなおしをしながら餌を呑みこみに入るが、この段階で既に反転して走り出している時と、まだ定位している時がある。基本的には魚がしっかり走り出したら、あるいは引きこみが強くなったら合わせる、というスタンスが好ましい。それまでは幾らかのテンションは掛けながらで構わないがラインは送り出すようにしておく。ヒラメなどのように定位したまま飲み込むタイプの魚の可能性がある場合は違和感を感じたら特に動きがなくともしばらく放置し飲み込ませる。

この捕食のスタイルについては魚種によっても差があるが、浅瀬等で魚が見えている時に観察しながら釣ると非常に参考になることが多い。また、水槽で魚を飼える人は一度飼ってみると捕食の様子がクリアになるだろう。

基本的には遅アワセで良いのだが、特に餌が魚に対して大きすぎた場合はあまりアワセが遅いと魚がエサを離してしまう事がある。咥え直しの段階でも餌が離れてしまう場合もある。しっかり待っているのにハズレばかりの時は一度アワセを少し早めてみることを試すと良いだろう。

針の種類によってもアワセのタイミングや方法は異なってくる。前述の通りリリースを前提にするならサークルフックと呼ばれる針先が極端にネムった針が呑まれにくくベストだが、この針は魚の口腔内を滑らすようにして最終的に唇に掛ける仕組みとなっているため極端に強いアワセは禁物。リーリングしながら針を掛け、テンションがしっかりかかった所で再度竿を煽ってアワセるようにする。泳がせ釣りで釣れる魚は特に海ではキャッチアンドイートが前提になり易いが、サメやエイなど招かれざる客も多い釣りでもあるので、リリースについても一定の考慮が必要だろう。

全遊動でウキを付ける

 基本的には生き餌の自然な動きや負担を考えた際、ウキや錘などの余計なものは一切付けない方が好ましいのだが、以下のような時に限り全遊動でウキをセットするのも一つである。

1.餌の位置をしっかり把握したいとき(特定の狙ったポイントがあるとき)

※ただしウキをつけることで逆にエサの推進力が弱まることも多い

2.海面が遠くなおかつ小さな生き餌で飛距離が出ないとき

3.ラインが根や藻場に引っ掛かり易いとき(この場合フロートタイプのラインを使うのが第一選択)

4.表層狙いなのに餌が潜り易いとき(この場合固定式でウキをつけるのが良い)

錘を付けることはほぼないのだが、餌が潜りにくい時にガンダマを付けることはあり得る。特に口掛けや鼻掛けの場合どうしても生き餌の頭にテンションが掛かり浮きやすくなるため、ガンダマを付けることは有用だ。ただ、可能な限りタナの管理も生き餌に掛けるテンションで行うのがベストである。竿の立て具合、引っ張る方向で調整していく。最初浅いサーフや湾内などで生き餌を見ながら、「こう引っ張ればこう進むのか」「これ位引っ張れば進み、これ以上引っ張るとだめなのか」といったことを試してみると感覚がつかみやすい。この釣りは生き餌との共同作業である。

生き餌の管理と死に餌(デッドベイト)の利用

 生き餌は現地調達がベストだが手間も時間もかかる上必ずしも釣れるとは限らず、管理が難しい。特に回遊魚系のアジサバイワシなどは回遊がなければ手も足も出ないこともある。エサ取りしか釣れない場合、泳がせにこだわるのは必ずしも得策ではなく、冷凍イワシのほうが泳がせのスズメダイに勝ることもある。アピール力では絶対的に劣るが、こういった際には死に餌、デッドベイトも考慮する必要が出て来る。ブッコミ釣りでの死に餌はどうしても餌に動きが無く、動かない餌に反応しないフィッシュイーターには不利であった。一方、手持ちで流れに乗せる釣りでは、死に餌も釣り人の技量次第で十分魅力的な餌になり得る。デッドベイトでの釣りについては別頁で紹介したい。

ヒラメ

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