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海でのフロートフィッシング、センターピンフィッシング

 海でのフロートフィッシング…とはどんなものでしょうか。

日本の磯釣り、ウキフカセ釣りの高度なテクニックと豊かな文化は世界屈指のものであると言え、このサイトなどで敢えて説明する様なことはもはやないでしょう。フロートフィッシングとは即ちウキ釣り、ならば海でのフロートフィッシングとは既に完成された日本の磯・防波堤でのウキ釣りとも言えます。そしておそらく磯のウキフカセに精通されている方は本サイトのドリフト論やシャツボタン、バルクショットなどのオモリワーク、ウキ先行と餌先行の話など殆ど既に理解されていることでしょう。きっとそのような方は川でのフロートフィッシングもすぐに習得ができるはずです。単にフロートロッドで行うウキ釣りをフロートフィッシングと呼ぶのならば、海でのフロートフィッシングは誰でもすぐに行えます。多くのフロートロッドは短尺ですが操作性に優れ既に一部のウキフカセ釣り師などに使われています。磯竿をフロートロッドに持ち替えればフロートフィッシングです。

一方で、いわゆるウキ釣りとフロートフィッシング、特にセンターピンでの釣りに代表されるフロートフィッシングとの違いとは何でしょうか。色々な見方が出来ましょうが、大きいのは、ウキを積極的に流れの中でコントロール、制御するという点ではないでしょうか。日本のウキ釣りは、固定的に浮かべるか、流れに任せて流すかどちらかが殆どです。フロートフィッシングでは、流れに逆らって止めたり、遅らせたりといったことを(センターピンリールという特殊なリールにより)長距離において高精度に行います。

川と海では流れの質と程度に違いがあり、押さえておくべき違いもあります。また、フロートフィッシングの肝であるウキをコントロールして流す、即ちドラグを掛けた流しという観点から、海でのウキ釣り、フロートフィッシングにおいて少し違った釣り方の可能性が見えて来ることもあるかもしれません。

アカハタ

川と海との違い

 川と海との違い。それは流れの質と程度である。まず川は流れがシンプルである。反転流なども存在するが原則的には上流から下流に流れ、その向きは一定である。強さも1日を通してほぼ変わらない。表層流が最も強く、底層流は緩い。そして魚はほぼ、底層にいることが多いため、狙うタナは原則底である。

海はどうか。潮の流れは刻々と変わる。強さも向きも変わり得る。表層の流れが強いことが多いが、底潮だけが強く動く場合もある。二枚潮、即ち上層と下層の流れの向きが異なる場合もある。水深が深く、魚は底物などを除き中層を幅広く移動し一定の棚にいるとは限らない。撒き餌をする場合はよりレンジが変わり得る。

川の難しさとは、激しい表層流にいかに耐えながらゆっくり流し、なおかつ底のレンジをキープするか、底をとるかということであった。海では、無論沖磯等で激流もあるが、いかに潮の流れを捉えるか、といった、流れが緩いからこその難しさもある。一方、川ではネガカリするかしないかの底から数十センチといったギリギリのラインをトレースすることを求められるが、海では基本そのようなことはない(というよりも不可能に近い)。中層で幅広く探ることが求められる。実際的には、水深がある分少なからず誤差が出るが、その誤差も許容されるのが海での釣りである。川では、数十センチのレンジのずれで全く釣れないこともあるが、水深に対する相対比で考えればさほど違いはないと言えるかもしれない。

撒き餌の有無、これも大きい。海でのウキ釣りが全て撒き餌を擦るかといえばそうでもないが、また、川での釣りでも下流域の釣りなどでは撒き餌をしながらの釣りもあるのだが、概ね、川のフロートフィッシング、とりわけ本流での釣りでは撒き餌は無い。海、磯釣り等でのウキ釣りは殆どが撒き餌ありである。撒き餌があると撒き餌ワークの難しさが加わる半面、魚のタナをある程度調整でき、とりわけ上方向へ上げることが可能になる。

ここまでで、自ずから川ではシビアに底付近をじっくり流し、海ではある程度ふかせて幅広くナチュラルに狙う事が合理的であることは自明だろう。川はフィールド自体が狭く水深も浅い。従ってピンポイントのシビアなコントロールが可能であるし、要求もされる。海でこれをやろうとしても流れも複雑で水深もあり、川のような精度では難しい。しかしその分、撒き餌が使え魚自体もそこまで固定的ではない。もちろん、磯釣りの精度が川釣りに劣るなどといっているのではなく、フィールドの規模に対する相対比で考えれば日本の磯釣り師のテクニックは驚異的としか言いようがない。

海ではナチュラルドリフトが基本

 いわゆるチヌやグレ等のウキフカセでは、ナチュラルドリフトが基本とされている。潮の流れと同じ速度で流す、ということである。撒き餌とサシエを同調させるという事が最も大切とされているのだ。厳密にはハリスの抵抗などで100%同じにすることは難しいだろうが、いずれにしても、川のフロートフィッシングのようにウキを止めたりといったことはほとんどなされない。道糸は、張らず、緩めず、といった、川で言えばほぼフリーに流すというのに近い。

海では川ほどの流れは無い即ち流れが緩いのでそもそも流れより遅くしてやる必要がない、また撒き餌と同調させるのにサシエが遅くなってしまえばずれてしまうしなにより不自然である。

一方川のフロートフィッシングでは度々紹介しているようにとにかく流れよりゆっくり流すことが効果的なことが多い。底層流そのものよりもゆっくり流すことも多い。ときには完全に止めたりもする。

この違いはそれぞれ魚の特性、餌取りの有無なども関係しているが、大きいのはやはり撒き餌の有無だろう。撒き餌は絶対に流れと同じ速度でしか流れないのでこれと合わせなければ不自然になるだけである。逆に例えば川の釣りであっても、下流域で撒き餌をしながらの釣りであればドリフトはナチュラルが基本となることは明らかである。(とはいえそれでもドラグを掛けて食べやすくさせた方が食う場合もあるが。)

カスザメ
カワハギ

ドラグを掛けて流すことの意義

 いわゆる川の「フロートフィッシング」では、センターピンを使うにしろ、スピニングで行うにしろ、或る程度ドラグを掛けて流すことが釣りの要であり、腕の見せどころであり、醍醐味でもある。無論フリーに流すワグラーの釣りなどもあるが、川の釣りではまず表層流が必ず底層流より強い為、ナチュラルドリフトであってもある程度のドラグを掛けてやる必要があるし、そこが面白いところでもある。

一方海では、上潮が滑っている時や風が強くウキが流される時は一定のドラグをかけるものの、ウキの流れにほぼ任せるような場面も多い。おそらく、川の「フロートフィッシング」との大きな違いはこのドラグをかける程度と頻度の差であろう。川の「フロートフィッシング」では半遊動等はウキが滑って使い物にならないことも多いが、海でのウキフカセは半遊動、全遊動もしばしば用いられる。これらは強めにドラグをかければすぐにウキが滑りウキ下が浅くなる。

ドラグを掛けて流すというのは、オートマ的なフリーの流しと異なり、マニュアル的な面白みがある。スピードを自在にコントロールできるし、オバセが少ない為感度も良く、吹きあがりやトゥイッチ等のアクションも容易に付けられる。一方で、これらは撒き餌をする通常の海のウキフカセでは通常は不要なことである。

川の「フロートフィッシング」を実際にしたことのある方は、この釣りは「フロート」、ウキを使うものの感覚的には脈釣り等に近い部分があることに気づかれるだろう。特にしっかりドラグを掛けて流す場合はなおさらである。そして止めたりアクションを付けたり、ある種ルアー釣り的な側面もある。海の釣りでもウキを沈め探る様な手法もあるが、ラインの張り具合がかなり違う。それはそもそも流れの程度が異なるということもあるが、やはりナチュラルに流すという事が目的になっていることが大きい。川の「フロートフィッシング」では、ナチュラルも大事だがイレギュラーももっと大事である。イレギュラーは、ドラグを掛けた流しでないと行うことはできない。

餌をイレギュラーに流す、ということ

 おそらく今まで海のウキ釣り、特に撒き餌を伴う釣りをしてきた方にはなかなか馴染みにくい考え方であろうが、餌をイレギュラーに流すということ、厳密には、ナチュラル時々イレギュラーに流すということ、これを行うのに川の「フロートフィッシング」における数々の理論は応用ができるだろう。これにはドラグを掛けた流し、その成立要因として理想はセンターピンリール、頭からラインが出るウキ、そして固定仕掛け(水深の関係上遊動が必要ならばそれを固定的に扱える工夫、あるいは逆転の発想…またの機会に別項で)が必要となる…イレギュラーに流す?そんな必要は一生ないかもしれないし、やってみる価値も無いと思うかもしれない。しかし、やってみれば全く違う世界が開けるかもしれない。例えばデッドベイトでの釣りで積極的に誘いを掛ける…半ばルアーのように…というのはこの観点の延長線上にあるものである。

センターピンフィッシングの海への適用

 フロートフィッシングは必ずしもセンターピンリールを使う必要はないが、センターピンリールがあればより快適に行う事が出来るのは事実だ。そして逆に、センターピンリールを使ったからといって必ずしもウキを使う「フロート」フィッシングを行わなければならないわけでもない。淡水のノンフロート釣法や完全フカセの頁でも紹介しているが、ウキを使わずに流して行くということも時に有効だ。とりわけ海では流れが総じて緩やかなため、完全フカセ系の流しは威力を発揮しやすい。一方で、海では一般に釣り座が高かったり流れが緩い分遠投が必要になったりするケースも多く、そういった際に遠投能力にかけるセンターピンリールは不利な点もある。また、多くが淡水での使用を想定されているこのリールは、海での使用後は洗浄などのメンテナンスが必須である。それでも、スピニングリールでは成し得ない細やかなラインコントロールを可能にするこのリールは、無限の可能性を秘めている。

ヒラメ

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