掛けたら獲る、ための配慮
魚のためにも基本は掛けたら獲る
大物釣りにおいて、予期しないラインブレイクやタックルの破損はやむを得ないが、「仕掛け作り」の頁でも述べたとおり基本は掛けたら獲る、そして万一の時にも出来るだけ魚に負荷の少ない形でのバラシを心がけたい。ここでは、無駄なタックルの破損や消耗を防ぐのはもちろん、魚への影響を最大限に減らすための配慮としていくつかのポイントを挙げておきたい。
釣り方に関わらず共通の注意点
・相当に十分な強度のタックルで臨み、万一の時は針接続部付近から切れるよう設定を行う。「細糸でないと食わない」と嘆くよりも「太糸で如何に食わせるか」を考える。
・獲れない場所では掛けない。獲れない魚は掛けないということ。「掛かってから考える」は無責任である。非常な急流などで自身のタックルではどうにも獲れそうにない場所はいくら魚影が濃くても竿を出すのを自制すべきである。
・取り込む場所を考えてから釣りを始める。トロ場、浅瀬、ランディングできる場所を常に探しておく。これらが無い場合はきちんと足元まで寄せられるパワーの竿を用いる
・ ランディングネットは余裕のあるサイズを用いる。いわゆる本流釣りで柄の長いタモ網は避けられる傾向にあるが、相手のサイズ、釣り場の状況からして必要で あれば躊躇なくこれを用いるべきである。そもそも現在の本流大物釣りのターゲットサイズは従来の渓流釣りからかけ離れつつある中で、ネットだけが従来の渓 流ネットの亜種である状況は少し奇妙である。携行性等にデメリットはあっても大きな枠の長い柄のネットを積極的に用いるべきである。とりわけメータークラ スのイトウなどにはカープフィッシング用ランディングネットなどを使いたい。
・最初の走りを止めると安心しがちだが寄せてから足元で急に暴れられて穂先やラインが破損し逃げられることも多い。竿の曲げ過ぎ、倒し過ぎには注意する。
脈釣りスタイルでの注意点
・竿一杯、ラインいっぱいまで流して流し終わりで魚がかかっても結局はのされてしまう確率が高い。従って流す幅には余裕を持っておく。ギリギリまで流さない。あるいは、すぐについて下れる場所でのみギリギリまで流す。
置き竿スタイルでの注意点
延べ竿置き竿で大物を狙う場合、手持ちでの脈釣りとはまた異なる注意点がある。
・ヘラ釣りの様にラインを張っていては一気にのされる可能性が高い。穂先から沖に一直線に仕掛けを伸ばすのではなく直角に横にセットしたり、或る程度オバセを出しておく等、一気に走られても竿を立てられるように準備が必要となる。
・ポイントの状況によりそれでも沖に仕掛けを張る場合は自分が掛ける瞬間に前へいくらか出られるように釣り座の位置に余裕を持たせる。
・アタリがあったらすぐに竿を竿受けから外せるようなセッティングを行う。可能な限り置き竿とはいえその竿に集中しアタリを待つことが望ましい。
・置き竿は手持ちの場合に比べ圧倒的にのされる確率が高い。スピードのある魚には置き竿は不向きである
延べ竿での釣りは本来自然負荷が少ない釣りである
延べ竿での釣りは仕掛けも軽量でシンプルなものが多く、釣れる範囲も限定されており本来的には自然負荷の少ない釣りと言える。一方、大物の延べ竿釣りとなるとどうしてもラインブレイク率が高くなり延べ竿釣りの本来の自然負荷の低さと相反する傾向が生まれる。これを解消するためにも「掛けたら獲る」をモットーに出来るだけ魚や環境への負荷が少ない釣りを行うようにしたいものである。
