サケ釣り仕掛け概説
サケの本流釣りにおける基本的なタックルは図の通り。ラインは4号~6号を標準に、荒川などの大型狙いでは10号程度までを視野にチョイスする。強度的に最も優れているのは結び目が無い通し仕掛けだが、流れの強い場所でデッドスローで流す場合、どうしてもエサが回転しラインにヨレが生じる場合があるのでハリス部分にスイベルを用いる手法も有用だ。また、6号以上のラインを用いると、ネガカリなどの際通し仕掛けだと切るに切れないことも多い。
この様な理由から、さほど流れが強くない場所で細糸(と言っても4号程度)を用いるならば通し仕掛けを用い、太糸や急流でデッドスローで流す場合はスイベルを用いる。現場で作っても良いが時間的に少しでも有利に立つために予備の仕掛け(スイベルを用いる場合はハリス+針)をいくらか用意した方が賢明だ。
手尻をどの程度出すかというのは好みの問題もあるが、エアゴライアス のような胴調子で振り込みのしやすい竿であれば手尻は長めにとって良いだろう。手尻はある程度取った方が遠方攻略や流し終わりでのヒット時のやり取りも容易である上、矯めが効きやすくファイトも有利に運べる。
サケ釣りの竿を選ぶポイント
鮭竿の3つの要素
サケ釣りの竿に求められる性能とは、大きく以下の3つに絞ることが出来る。
①強靭なバットパワー
これはダンプカーの様なサケの疾走を止める為に絶対的に必要な要素だ。延べ竿でのサケ釣りは竿のバットが強くなければ竿の破損を招く。
リールなしの釣りでの最高峰とも言えるサケの延べ竿での釣りには、やはりサケ釣り専用のロッドの準備が必要。コロガシ竿などの流用はお勧めできない。もっとも、どれだけバットパワーのある竿でもやり取り如何によっては折れることもある。胴調子寄りの竿ならば目で曲がりを確認できる程度迄、先調子寄りの竿ならばより浅めの角度までの曲げ込みで対応し、後は自身がドラグとなって竿と糸を守ることが大切だ。
②感度とフッキング性能
一般に鮭竿は太い穂先の胴調子が多い。これはサケの硬い口にしっかりフッキングをさせるためにはそれなりの硬い穂先が必要であるとの考えから来ている。細い穂先の場合、2度アワセ等で対応する。感度については、細い穂先の方が繊細なアタリを取れるという意見がある一方で、太くて硬い穂先の方が緩衝性が低くアタリがダイレクトに伝わるという意見もある。この辺りはある程度好みの問題だが、フッキング能力で言えば極太穂先に確実に軍配が上がる。
遡上性の魚は一般にアタリが小さく、サケ釣りにおいては、感度というのも重要な部分だ。サケの小さなアタリをきちんと捉えるには、無論目印を追うことも大切だが目印に出ないようなアタリも多く、やはり竿を通じての感触というものも大事にしたいところ。きちんとしたフォームで構え、流していれば、小さなアタリもなんらかの違和感を現すはずだ。
③軽さとパワーのバランス、そして操作性
いくら強いバットを持った竿だからと言って、例えば一部のコロガシ竿のように自重が600gもあるような竿は一日中振ることは出来ない。また、竿の太さについても、あまりに太い竿は風が吹けば竿の体感自重は何倍にも増し、実用性に掛ける部分がある。また、サケ釣りにおいては単純に仕掛けを流すだけでなく、少し引いたり、止めたりといったアクションを付けることも良く行われる。このような場面で、軽く操作性に優れた竿は有利に働く。
一方で、軽い竿や細い竿はパワーにおいて不利なのは致し方の無い事実だ。結局のところ、①のパワーとの兼ね合いの中で、必要なパワーと軽さ・細さのバランスの折り合いを見つけて行くことになる。軽い竿は長時間の耐久レースの様な釣りには有利だが、物理的に軽い竿にはそれなりのパワーしかない。桜鱒の釣りなどとは異なり、サケ釣りは一日にアタリが何度もあるような釣りであり、有効利用調査の多くでは時間制限もあるため、軽さだけでなくパワーとのバランスが取れた竿を選ぶのが良いだろう。
また、大仕掛けを振り込むため胴調子ですっと振り込むだけで仕掛けが飛ぶような調子がベストだ。胴が硬すぎる竿は振り込みに体力を要する。



釣り場の選択について
仕掛けの解説の前に釣り場の選択について少し触れておこう。多くの有効利用調査の場合、管理者の方にポイントを予め伺うことができるだろう。しかし調査区間が長い釣り場の場合、或る程度自力で探す必要も出て来る。サケ釣りのポイント選びは基本的にサケの気持ちになって考えるのが原則である。即ち、サケがどの場所で一息つくのかを考えることになる。それはカーブになっている場所であったり、急瀬の手前であったり、堰堤の下であったりする。また、或る程度の流れの中であれば、必然的に流芯の底やキワとなる。反転流には遡上魚はつきにくい。上流へあくまでも昇って行くことが遡上魚の目的であり、そこに居着くことが目的ではない。流れが殆どないようなトロ場は駆け抜けて行くだけでスル―されやすい。サケは数があるのでサクラマスほどにポイント選びで慎重になる必要もないし、またサクラマスの着き方とも異なる点もある。浅場であればサイトフィッシングが可能なところもあるし、深場でもサケが時折顔を出すこともあるので、視覚的なチェックも怠らないようにしたい。以下、主なポイントの例を列挙する。
・流れ込み、急瀬の直下の淵頭、堰堤の下など、サケがたまる場所。1級ポイントである。ポイントが絞り易く魚の数も多い。バブルラインに沿って流芯の下を探る。流芯から外れると魚の数は格段に減る。
・川幅が広くフラットな瀬はある程度の流れと水深があり魚が素通りせずある程度定位する筋を探る。
こういった場所は流れの筋が1つではなく川幅も広い為確率論的にはやや劣るが、産卵床などができやすく魚の数が多いこともある。こういったポイントでは部分的な深場、強すぎる本流などはあまり狙わずにフラットの中の筋を探す方が良い。
・ある程度の水深があって流れも緩い淵の様な場所は緩い中でも流芯付近を探るのがポイントだが、中層に浮いていることも多いのでタナは幅広く探る。
・逆に好ましくないポイントとしては、流れの無い浅場(素通りされるかそもそも魚が通らない)、流れの無い深場(河口付近だと魚は入っていることもあるがタナ、筋共に魚がバラケやすく確率が下がる)、流れの強い浅い瀬(定位しにくく素通りされやすい。魚の背が見えるほどの浅場はまずあまり好ましくない)、反転流、渦(あまり遡上魚が付かない)。
淵は淵尻よりも淵頭のほうが魚が溜まり易い。瀬も段差がある所の尻よりも頭の方が良い。サクラマスのように遡上に時間をかけないため進めるエリアはどんどん進んでいく傾向にあるように感じる。
穂先のライン接続について
大物釣りではいくら通し仕掛けを用いても常にこの部分がウィークポイントとなる。ビミニツイストなどの撚り糸を作った上でのチチワが理想的だが、普通のチチワでもダブルラインにして作ればある程度安心だ。
リリアンについても配慮が必要だ。不安な人はリリアンの付け根をスレッドで補強する等の対策も有効。基本的にはシンプルな直付けリリアンが強度的には最も優れている。最近の本流竿は金属トップや回転リリアンが多くみられるが純粋に強度を求めると余計なものの無い直付けがベストである。
更に言うならば、昔良く見られたような輪っかタイプのリリアンに接続するのが理論上は最も優れているが、仕掛けの交換等の手間を考えるとやはり、直付けリリアンがベストと言えるのではないだろうか。


仕掛けづくりのコツ
鮭の歯は鋭くハリス切れを起こす危険があるのでしばしばウレタンチューブによる保護が有効となる。
タコベイトをセットする場合、ウレタンチューブやアンチタングルリグスリーブ(針が大きい場合、ウレタンチューブでははまりにくいことがあるがこれなら大抵ははまる)の上にこれをかぶせることになるが、その際タコベイトの頭の中あるいは上に、一つガンダマを打ってやると抵抗が大きく浮き上がり易いタコベイト仕掛けが安定しやすくなる。またタコベイトがずれて針まで落ちるのを防ぐこともできる。逆に流れが弱い場所では発泡スチロールチューブを噛ませて浮力を確保しないと餌が底層流では沈んでしまう事もある。
サケ釣りの餌
鮭の本流釣りにおけるもっとも基本的な餌はサンマの短冊である。生サンマを数匹用意し三枚おろし、図のように短冊に切り、一度塩に漬け水分を抜いておく。 塩は振りかける程度ではなかなか水分が抜けない。ある程度硬く締めた方が振り込みの際などに身切れせず楽であり食いにもあまり影響が無いので相応に硬くするように心掛ける。ただし海から近いポイントの場合鮭の食性が残っている場合があり、こういうポイントでは軟らかなサンマ、新鮮なサンマに軍配が上がることもある。イメージとしては塩の中にサンマを埋める感覚で、塩漬けを行う。1日~1日半程度で塩から出し、保管はクッキングシートを敷いたタッパウェアやジッパー袋等に入れて冷蔵庫へ。あまり冷凍はしないほうが良いため、使う数日~1週間前位に作るとよい。実釣で使う際は上部から通し刺しにして用いる。なおタコベイト、サンマ共にいわゆるタラシが長いとつつかれるだけで終わり易いので針から餌の終端までは短めになるように調整する。針のサイズによっては太短いサンマを用いても良い。特にドラグをかけて流す場合、流しの性格上タラシが長いと針がかりしにくいので注意したい。
他にイカの短冊(食紅で赤く染めると良いこともある)も有効。アピールが有効な状況ではタコベイトを併用することもあるが、魚が多い時期にはエサだけで十分である。特に河口付近での釣りの場合、サケに捕食性が残っていることがあるのでタコベイトは控えめに、エサ自体の匂いやアピール力で食わせたほうが良い。なおタコベイトは基本的にピンク色~赤色に実績があるがオレンジなども面白い。


錘と振り込みについて
エサがルアー並の大きさであるから、当然これを沈める為の錘も大きくなる。通常3B以上、5B程度を数個から始めても良い。流れが緩い場所でもエサの水中での抵抗があるので軽い錘では仕掛けが安定しにくい。
鮭に関しては自然な流しよりも操作性が求められるので、あまり遠慮せずに大錘を用いた方が良い。振り込みもエサが大きいのであまり大振りせずに、サイドスロー気味にキャスティング時の空気抵抗を出来るだけ減らしながら投げる。むやみに力任せに振るとエサが身切れして飛んでしまうこともある。通常のヤマメ釣りとはこのあたりはやや勝手が異なるでの注意。十分な重さが餌と錘であるならば、ダブルハンドでのアンダースローで投入しても良い。
錘の位置はしばしば議論の的となる問題だ。一般的に遡上魚狙いの場合聞き流し、ドラグを掛けた流しで魚にしつこくアピールし、小さなアタリをきちんと取る必要があるので、自然な餌の流れよりも感度重視で物事を決定した方が良い。したがって、錘の位置はあまり針から離し過ぎない方が良い。おおよそ40cmを基準に、状況によって30~50cm程度の中で調整する。なお、いくら感度重視だからといってあまりにも針に近すぎる錘セッティングは好ましくない。ある程度の長さがあることで餌がふらふらと泳ぎ魚にアピールするからである。海に近い釣り場の場合は捕食性を残している魚もおりそのような場合は自然に流すことをこころがけたほうが良い場合もある。この場合は捕食性の魚を釣る時のように70~80cm程度とるのもよいだろう。
流し方、流すタナについて
基本的にはドラグをかけた流しで底付近を丁寧に流す。サケの鼻先に餌を持って行ってやるようなイメージでしつこく流す。リアクションバイトが往々にしてあるのでイレギュラーな動きをさせることも有効。止めて浮き上がらせたり、それをまたフリーフォールさせたり、ストップ&ゴーのようなアクションも選択肢の一つ。意図的に餌を引き操作することも。こう言った意味でルアー釣りに精通している人は有利かもしれない。
流すタナもサケが上ずっているときは中層から表層でアタリが出ることも多い。時折サケが水面から頭を出す事もあるのでよく観察しておきたい。こういった棚での流しは通常の本流釣りとは趣が異なり違和感を感じる方もいるかもしれないが、サケ釣りではあまり型に囚われず色々試した方が結果は良いようである。また海に近い釣り場では中流域の釣りとは異なるアプローチが求められることもある。
原則として、海から近い釣り場で流れがさほど強くない(なおかつ水深がある)ポイントでは魚が海の感覚で中層を泳いでいることも多いため浅目を流す。逆に流芯のように中層に定位出来ないポイントや瀬では底付近を流す。流すスピードは、前者ではナチュラルドリフト気味に、後者では極めてデッドスローに流す。特に海から距離のある釣り場では中層狙いであってもデッドスローに流した方が良い。遡上後時間がたったサケは口を使わないのでとにかく鼻先に餌を止めてやる感覚で狙う。産卵床狙いでのサイトフィッシングでは周りの雄を追い払う大型の気の立った雄や、産卵床を守る未産卵の雌を重点的に狙い、猫じゃらしのようにしつこく鼻先にエサを持っていく。


合わせからやりとりについて
目印が止まるようなアタリが多いので、まずは聞き合わせを行い魚信があれば追い合わせを行うのが基本的。アワセはしっかり、それ単体で行い、魚に引っ張られただけではアワセは決まっていないと考えるべき。アワセは出来るだけ上方向に行う。流し終わり等ではこれができにくい場合がある。サケの顎は硬いので針先は常に鋭くしておく必要がある。爪に引っかからないようでは針先が甘い。針はオーナーばりのサルモ15号から管付きの伊勢尼針、丸セイゴ針の20号クラスなども流用できる。超大型を狙うならばがまかつ社の剛力鮭鱒なども良いだろう。針の大きさはおおよそ15~22号程度が良く用いられる。サケの口は確かに大きいが幅は狭めであり、やみくもに大きな針が有利かというとそうでもない。サルモ15号は一見小さめであり丸セイゴの20号でも海のアキアジ釣り用の針にはもっと大きなものも多く、より大きな針を用いたいという衝動にかられるかもしれない。一旦針がかりした後の安心感は大きな針にはあるのだが、しかしながら仕掛けとのバランスも考え一般的なサイズの針を用いた方が良いだろう。というのも特にスレている場合針があまりに大きいと食いに影響する事も考えられるからだ。また、あまり太軸の針は貫通しにくい側面がある。
魚がかかれば一気に竿を曲げて行き、出来ればそのまま取り込みに繋げていくのが良い。竿は魚が走って結果的に曲がるのではなくこちらの意思で曲げて行くという構えが必要だ。一旦走りだして助走が付いた魚を止めるのは難しい。走りだす前にこちらが主導権を握ることが肝要である。長手尻で遠方を攻めているならば竿をただ立てるだけで竿を限界まで曲げることになろうが、近くで掛けた場合は後ずさりしてしっかり竿を曲げてやることが必要となることもある。逆に、魚があまり大きくないことが明らかな場合、オープンスペースで魚とのやり取りを楽しみたい場合は、敢えて魚に任せ魚の引きによる曲げ込みを待つのも一つだ。エアゴライアスのような胴調子竿は曲げ込んでのやり取りが最も楽しいものである。
やりとりは竿をやや寝かせて行い終盤で立て竿にする。余り寝かせすぎると針がかりの場所によっては鮭の口の形状上抜けやすくなる。一方ずっと立て竿だと沖に走られやすいし無駄な力が必要になる。非常に多くの釣り人が何の疑いもなく立て竿でのやり取りをしているが、物理的には竿は寝かせたほうが魚の頭をこちらに回転させやすい。特に水深が浅い場合は立て竿は非効率だ。逆に数メートルの水深がある深場ならば立て竿も理にかなっている。
釣りの時期、時間帯について
その日の気候や諸条件、また釣り場で釣果は大きく変わる。近隣の人は良いが遠征組の人は過去データを参照しつつ慎重に釣行日を選びたい。多くの漁協がホームページで過去の実績を公表している。
時間帯は、そもそも有効利用調査であれば時間帯が制限されておりその時間帯で釣るしかない。早朝のスタート時が良く釣れるとか、午後が釣れるとかといったことは、釣り場釣り場の状況や日によっても変わり特段の法則性はないように思われる。ただある程度時合は存在し、周りが釣れ出したならば臨戦態勢に入るのが望ましい。この地合いとは、①気温や水温、水位の上昇により既にいる個体の活性が上がる ②新しい群れが入ってくる の2つのパターンがある。

サケ釣りに最適な超大物用本流竿、エア・ゴライアス8400
POLE&LINE エア・ゴライアス8400は、トロフィークラスのサケまで視野に入れた超大物用本流竿。標準的な4号ラインから特大サイズ狙いの8号、瀬ズレ対策を考慮した場合10号ライン程度まで張ることができる。キングサーモンロッドに次ぐ、国内では十分すぎるパワーを有しながら持ち重りを徹底排除し、振り込みやドリフトといったサケ釣りにおいて多くの時間を占める動作を快適に行えるように設計されている。また、単なる剛竿ではなくレギュラーサイズのサケでも十分楽しめる調子となっており、メインユースの1本に最適だ。