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瀬での流し方を考える~フロートフィッシングでの清流攻略~

  日本のフロート、センターピンフィッシング環境を考えるとき、2つのメインフィールドが想起される。1つは、下流域でのコースフィッシングスタイル。具体的にはウキが先行しないと流れてくれないような流速で、コイやフナを狙うというもの。実は、流しという観点で見れば、このフィールドは難易度が低い。もはや、選択の余地は無く、ウキ先行で流すしかないのであるから。そして、ウキ先行はセンターピンリールの人力ドラグテンションにおいてはほぼフリー、あるいは回り過ぎを少しセーブするだけでいいから気も楽である。 時々ドラグを掛けて吹きあがりを演出したり、障害物を避けたりすることはあっても、基本的にはウキがオートマチックにオーバーデプスな(タナいっぱいよりも長めにとった)ハリスと針が底をトレースしてくれるので、のんびりと釣りができる。ドラグを掛けないので、ウキが手前に寄ってくることも少ない。WagglerウキでC字オバセを作ってとろとろ流す釣りなどでは、尚更である。 もうひとつのフィールドとは、いわゆる清流域である。これはオイカワやカワムツがいるような中流域で、ヤマメやアマゴがいるような上流域ほどの流速は無いが、下流域よりは明らかに流れは強く、それでいて 水深はあまりない様な場所、とでも言うべきだろうか。本流釣りにおける本流域はもっと水深があって流れの太さもある。そこまでは行かない場所である。 この清流域とは、広義の瀬を含むことが多い。瀬の定義も難しいところがあるが、概して流れが速めで水深は浅めとでも言うべきだろうか。この、瀬でのセンターピンフィッシングは、しばしばロングトロッティ ングを可能とし、下流域ののんびりとした釣りとはまた違う楽しみがある。そして、この瀬での流しの延長線上に、本流域での鱒狙いのシビアなドリフトが提起されるのである。
瀬でのフロートフィッシング
清流とセンターピンリール
清流の瀬での流しにおいて、成し遂げるべき要素は次の3つだ。 1.ロングトロッティングながらウキが手前に寄らない自然な流し 2.表層流よりも遅い流し 3.急激な凸凹は少ないものの下流域よりも圧倒的に川底の起伏があるがこれをかわしたスムースな流し まず第一の要素を見てみよう。これを成し遂げるにはウキ先行でオバセを出していけば確かにウキは手前に引っ張られないがために手前に寄りにくい。しかし、それでは2の要素は完全に破たんする。い や、大錘で底をオバセに引きずらせながら流せばよいという意見もあろう。もちろん、そうした流しを行うこともある。しかし、概してネガカリが多発するので ある。即ち、3の要素と背反するのだ。砂地の底などではこれもありだが、石が多い瀬では大錘を引きずらせるのはリスクが大きい。したがって、やはり餌先行、ドラグを掛けた流しになる。しかしこれはウキが手前に来やすい。解決策は、次の2つだ。 A. 川の中ほどまで立ちこみ下流を向く、そこから正面を向いて流す B. 着水後は糸ふけを出さないことに集中しておくだけにし、ウキがある程度流れてからドラグを掛ける 簡単かつ合理的なのはAだが場所によっては立ちこめない深さの川もあるだろうし少なくとも立ちこんだ場所は荒らすことになる。ポイントは下流に設定しているので問題ないとはいえ、他のアングラーには不評かもしれない。 技を磨くという点からいってもBをお勧めしたい。具体論としては、まず仕掛けを正面に投げる。これが当然最も沖へ投げる方法だからだ。そしてすぐに竿を立ててラインが水面につかない様にする。 ここで竿はかなり立てておかないと中途半端な立て方だと強い表層流がわずかなラインを掴んでオバセを出してくる。オバセが出ると、いざドラグを掛けた時に 余計にテンションがかかり手前に寄り易い。そう、オバセはフリーで流す時は自然な流しの見方になってくれるが、ドラグを掛けて流す時は邪魔ものでしかないのだ。 竿をしっかり立ててウキからラインがロッドまで一直線になっているのがベスト。この状態で自分から見て下流側45度程度迄流していく。ここでの流しはドラグを掛けず、かといってオバセを出さない様にウキについて行くように流していく。おそらく、この段階ではウキ先行と なっているので錘が少し底を引きずりながら流れて行っているはずだ。ウキの頭は下流方向を向いている。そう、それで良いのだ。この段階からドラグを掛けよ うとしても、テンションはウキの上流側からではなく、釣り人側から掛かるだけで十分にドラグはかからず、それを無理に掛けようとして強いテンションを掛け てウキが手前に寄るのだ。ここは割り切って、下流側45度までは捨てる気持ちで流すべきだ。いや、捨てるというのは正確ではない。この下流45度までのラインは、テストラインとでも呼ぶべき区間なのだ。もちろんこの段階で魚がかかることもあるし、ウキの様子から、どの程度の水深、そして仕掛けはどの程度オーバーデプスなのかを判断するのである。この段階でウキの頭がどの程度下流方向に向いているか、その角度が、おおよそ水中のライン角度である。そ して、いざ本番、ドラグをかけ始めた時、今度は逆方向に同じ角度で吹きあがりをさせながら流していくことをイメージするのであるから、ここでライン角度が あまり直角に近いと、簡単に吹きあがってしまうタナだと判断でき、もっとタナを深くせねば、となるのである。逆に、ウキがかなり寝た感じで引っ張って行っ ているならば、あまりにオーバーデプスなようだと判断できる。そもそも、ウキが垂直でどんぶらこと流れているなら、タナが浅すぎて話になっていない。 よく問題となるのはどの程度オーバーデプスにする のかということだが、これは水深の1.5倍~2倍などと言われてもいるが、結局はどの程度ドラグを掛けて流すつもりなのか、そしてどの程度流速があるの か、ということで決められる話だ。ゆっくり流そうとすればするほど吹きあがりは大きくなりライン角度は浅くなっていく。45度でイメージしておおよそ 1.5倍だ。注意したいのは、もちろん、ウキ先行でウキが錘を引きずっている時の角度よりも、吹きあがりの方が大きいこ とが多いので、例えばテストラインでライン角度がウキの頭から判断して60度くらいだというならば、じっくり流すには棚が浅すぎだろう。じっくり流す時は 概ね45度にはなるであろうから、60度で底を引きずっているのでは45度にした時底を取れない可能性がある。このような感じで、タナは設定しておこう。
さて、テストラインを過ぎたら、徐々にドラグを掛けて行く。ウキが遠くになればなるほど、ドラグをしっかりかけてもウキが手前にはよりにくい。ここからは好みで流していけばよいだろう。これが、まず要素1への解である。そして同時に、要素2への解ともなっている。 残りの要素3だが、これは錘の打ち方に関連してい る。瀬での流しにおいては、バルクショット、つまりまとめ打ちはあまりお勧めできない。水深があまりないので急激に沈める必要が無く、表層流にもまれてい る中でウキをしっかり立たせるには、常にある程度のサスペンド状態の錘が要る。つまり、まとめ打ちだと、錘が少しひっかかかるとウキが向負荷状態となるた めウキに不安定性が生じやすい。シャツボタンスタイルの連打ちだと、下の方のわずかな錘が底を引き摺ったりすることはあるが、概ねの錘は水中にありウキに負荷を与え続ける。また、まとめ打ちした錘はネガカリし易いが連打ちの一部だと問題は起こりにくい。瀬は水深が無いため連打ちでも底は取れる。したがって連打ちがベストな選択肢となる。 ここでまた一つ、流しにおいて底を叩くものは何か という話題について触れておこう。テストラインにおいて引き摺っているのはまず間違いなく錘であるべきだ。ハリスだけが引き摺っているならウキの頭はほぼ 垂直、これではその後の吹きあがりに堪えない。まとめ打ちならばそれそのもの、連打ちであれば下層の錘。オーバーデプスにすればするほど連打ちの多くの錘 が引きずることになる。さて、テストラインを終えていざ餌先行に切り替えても、時折仕掛けが引っ掛かりウキが止まることがあろう。しょっちゅう引っかかる ようではオーバーデプスすぎるかドラグが弱すぎるかどちらかだろうが、時折仕掛けが引っ掛かる、つまり、錘が底を捉えていることは大事なことである。仮に何の障害も無くスムースに流れて行くのなら、仕掛けが底を取れている保証はどこにもないではないか。吹きあがり過ぎて中層を漂っているかもしれない。下流域での英国スタイルのトロッティングでは、底を引きずるのは基本的にハリスであって錘では無い。(例外もあるが。)それはウキ先行では錘が引っかかっていては力負けするし、ネガカリのもとになるだけであるし、しかもハリスが沈下するほどの低速な流速だからこれを活かさない手は無いのである。清流の瀬で は、基本的に錘より先のハリスや針はV字に浮かんでいると考えるべきだ。ならば、底を叩くべきは何か、錘しかない。 餌先行で錘が底を叩くことを流しの失敗と捉える人 もいるが、時折の叩きはむしろ正解への根拠となり得ると思う。ちなみに、遠く流していくと、ウキの頭がどこを向いているかなど見えなくなり、餌先行の流しでないと殆ど勘の釣りになることがある。ウキ先行で遠くを流しているとウキが沈んでも底に引っかかったのかアタリなのか判断しにくい時があるが、餌先行でドラグを掛けていると、ウキの変化は見えなくとも手感でアタリを感じることがある。餌先行でのロングトロッティングは実はロングな脈釣りに一部通じるところがあるのである。数十メートルのロングトロッティングではこの点からも餌先行が有利だろう。
センターピンリール

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